こんにちは、
セミリタイア研究家
エスカルジュニアです。
「GX(グリーントランスフォーメーション)実現に向けた基本方針」が報道されました。
これまで、「カーボンニュートラルでベーシック・インカム」案について書いてきたのは、今回の報道に先立つ、下記報道を始点として。
カーボン・ニュートラルのカギともいえるカーボンタックスについての新聞記事を紹介しているうちに、『カーボンタックスの使い道⇒ベーシック・インカム市場+ベーシック・インカム』へとたどり着いてしまいました。
カーボンタックスは、ベーシック・インカムの財源に最適なのではという直感から。
国の基本方針では、輸出産業は、今後、競争上不利になり、また、温暖化対策への取り組みも弱く、あまりにも遅い。
それは、本格稼働は30年代で、中間目標の「2013年度比で2030年度の温室効果ガス排出量の46%削減」後に本格稼働する案だから。
国の計画案に対し、エスカルジュニアの提案のポイントとなるのは、カーボンタックスを導入後、技術革新への投資に加え、その使い道の1つを、ベーシック・インカムの原資にすること。
「カーボンニュートラルでベーシック・インカム」案の全体像について振り返ってみたい。(長文になります)
化石燃料を原動力に成長してきた資本主義が短期間の間にカーボンを大きく排出、有限な化石を含む資源の持続可能性を度外視してきたことは、資本主義(市場)の修正事案の1つであると思う。
一方、カーボンプライスにより、これまでの資本主義で抜け落ちていた「外部効果」を「内部化」するという名目で、閉塞している資本主義に新たな開拓地をつくり、そこから国も税収が得られることになるという思惑もみえる。
こうした疑問はあるものの、『カーボンゼロをやらない未来』より『カーボンゼロをやる未来』の方が、持続可能性は高いはず。
たとえ、気候変動を抑え込むことが十分できなくても、少なくとも現在の利用過多な化石資源を将来世代へ残しておくという点では、持続可能性を高めると思う。
そして、世界・国が2050年カーボン・ニュートラルへ進むと決めた以上、カーボンプライシング(炭素税・排出権取引)に向かっていくだろう。
そこで、提案してみたいと思う。
気候変動が産業革命後の人間活動由来ならば、鍵は、カーボンプライスだけでなく、『人口減少』、『脱成長』、『脱化石エネルギー・太陽エネルギー利用への技術革新(産業革命)』が必要だと思う。
さて、この新しい仕組み(カーボンプライス)のコストを背負うのは誰か?
企業?
企業ならば、株主?資本家?企業利益から?従業員の給与から?商品価格に転嫁?
おそらく(現在から未来の)消費者が多くのコストを背負うことになるのでは?
また、この新しい仕組みのコストを(現在から未来の)消費者が背負わなければ、別のコスト(気候変動対策なしによる被害)を負うのも、また消費者になるかも。
日本は、2050年のカーボン・ニュートラルを世界にあわせ表明している。
カーボンタックスを取り入れるということは、増税だ。
カーボンタックス(炭素税・排出枠取引制度)の税収の使い道は、技術革新へ向けるのと同時に、脱成長に伴う痛みへの対応のために弱者である消費者に還元していくことも検討できるのでは。
なので、カーボンタックスを導入後、技術革新への投資に加え、その使い道の1つを、ベーシック・インカムの原資にすることを提案していきたい。
『カーボンタックスの使い道⇒太陽エネルギー利用への技術革新(産業革命)+ベーシック・インカム』
もっとシンプルにいうと
『カーボンタックスの使い道⇒ベーシック・インカム市場+ベーシック・インカム』
この『ベーシック・インカム市場+ベーシック・インカム』の財源にカーボンタックス(炭素税・排出枠取引制度)をあてる。
この方法は、市場の失敗を内部化し、市場の力で解決することともいえる。
しかも、内部化できるのが、『気候変動』だけでなく、他の様々な『外部効果』も内部化できる。
また、『気候変動』の被害が及ぶ、今後の世代の人々にも有効となる。
『産業革命』と同時に『社会の構造改革』だ。
エスカルジュニア案「カーボンニュートラルでベーシック・インカム」は、
●「炭素税」開始。
『炭素税』を国内全企業・国民にかける。
企業は、集中的に脱炭素設備投資を自力でせざるをえなくなる。(原資は内部留保や融資、投資)
商品に価格転嫁される。
輸出企業の競争力維持。
カーボンニュートラルが一気に進み、脱炭素社会へ。
●「排出権取引」開始。
カーボン使わない企業・部門が、カーボン使う企業・部門から排出権を買い取るため産業全体が少カーボン化する。
家計・個人も排出権取引に参加できれば、個人にも新たなビジネス・副業・収入が生まれる。
(個人が、カーボン節約により、カーボン使う企業・部門に排出権を売却)
●「ベーシック・インカム」開始。
カーボンタックス(炭素税+排出権取引)を財源の一部とし、ベーシック・インカムを導入。
家庭サイドで見ると、炭素税分を国から割り当てられ、資本家からは、価格転嫁されることになる。
が、価格転嫁されても使わない(カーボン節約)ことで、ベーシック・インカム分との差が、収入増になる。
ただし、個人でもベーシック・インカム分以上カーボンを排出(カーボン浪費)すると納税サイドとなる。
●「ベーシック・インカム市場」開始。
持続可能な、太陽、自然エネルギー由来の「ベーシック・インカム市場」をつくる。
太陽エネルギー利用への技術革新(産業革命)への投資。
炭素税は、その税の性格上、おそらく、カーボンニュートラルが進むにつれて減少するので、次第にベーシック・インカムの財源がなくなっていく。
それにあわせて、ベーシック・インカム市場を軌道にのせていく。
この4つ「炭素税+排出権取引」「ベーシック・インカム市場+ベーシック・インカム」を同時スタートすることで、『カーボンニュートラル』と『1億総セミリタイア社会計画』を一気に実現させる。
これが、エスカルジュニアの提案する、「カーボンタックスでベーシック・インカム」案の概要。
カーボンタックスを財源の一部としてベーシック・インカムを導入する。
「カーボンニュートラルでベーシック・インカム」ともいえるし、
「カーボンニュートラルで1億総セミリタイア社会計画」ともいえる。
が、これを書いた後に気が付いたことが・・・。
(カーボンプライス「炭素税+排出権取引」)+(ベーシック・インカム)は、まさにエスカルジュニアがこれまで妄想してきた、「ベーシック・インカム市場」なのでは?
ベーシック・インカム市場は無から創造することを想定していた。が、カーボンタックスを使えば、今の資本主義市場の修正で対応できるのでは?
という気付き。
カーボンプライス「炭素税+排出権取引」導入後は、全産業、全国民が、カーボンニュートラルを織り込んだ生産方式、生活様式にシフトしていく。
それは、(ベーシック・インカム市場)が前提とする、自然エネルギーを利用した持続可能な生産方式により生み出される製品の市場に近づいていく。
(カーボンプライス「炭素税+排出権取引」+「ベーシック・インカム」後の資本主義市場)と(ベーシック・インカム市場)は似ている。
が、違う点もありそうだ。
ところで、カーボンプライス「炭素税+排出権取引」は、極端な話、「空気(自然)」に値段をつけて、市場の外部効果を内部化するもの。
資本主義は、これまでも水や化石燃料(石炭、石油、天然ガス)や土地、資源など「自然」に値段をつけて、そして、労働力として「人間」に「賃金」という値段をつけて資本主義の成長の原動力にしてきた。
今回の{(カーボンプライス「炭素税+排出権取引」)+(ベーシック・インカム)}では、「空気(自然)」というこれまで無料だった生物の共有物に値付けし財源化したものを、ベーシック・インカムとして「人間」に再分配していく。
「自然」に対しては、これまで資本主義が無制限に搾取してきたものに制限を加える(カーボンニュートラル)。
「人間」に対しては、無料の共有物(空気)を原資に無料で生活費(ベーシック・インカム)を配る。
(カーボンプライス「炭素税+排出権取引」)が「自然」を一部、内部化する。
(ベーシック・インカム)が「人間」を一部、内部化する。
カーボンプライスとベーシック・インカムにより、これまで、資本主義が疎外してきた、「人間」と「自然(空気)」の一部を内部化する。
これを「修正後の資本主義市場」とする。
では、エスカルジュニアが考えていた「ベーシック・インカム市場」とどう違うのか?
(カーボンプライス「炭素税+排出権取引」+「ベーシック・インカム」後の資本主義市場)と(ベーシック・インカム市場)の違いは何か。
(ベーシック・インカム市場)との大きな違いは、生産が衣食住に集中していない(最低限の生活保障に限定していない)こととAI、ロボットの労働により人間が労働から解放されていない(効率化が未完成)ことの2点。
「自然」の恵みをもとに「人間」を労働から解放するものが、エスカルジュニアが考えていた「ベーシック・インカム市場」だった。
(カーボンプライス「炭素税+排出権取引」+「ベーシック・インカム」後の資本主義市場)と(ベーシック・インカム市場)は、この2点以外ではとても似ている。
(カーボンプライス「炭素税+排出権取引」+「ベーシック・インカム」後の資本主義市場)を短く「新しい資本主義市場」とする。
「新しい資本主義市場」=「ベーシック・インカム市場」(前述2点以外)だ。
(カーボンプライス「炭素税+排出権取引」)の税収を(ベーシック・インカム)で分配する。
これだけで、「ベーシック・インカム市場」に近い「新しい資本主義市場」をつくることができる。
わざわざ無から創造する手間はかからない。
極端な話、カーボンプライスを導入すれば、今すぐにでも、ベーシック・インカムをはじめられる。
ところで、本当に「新しい資本主義市場」は、「ベーシック・インカム市場」に近いのか?
「新しい資本主義市場」をつくれば、「ベーシック・インカム市場」として機能するのか?
ここで、「ベーシック・インカム市場」と「新しい資本主義市場」の違いについてみていく。
「新しい資本主義市場」と「ベーシック・インカム市場」との大きな違いは、生産が衣食住に集中していない(最低限の生活保障に限定していない)こととAI、ロボットの労働により人間が労働から解放されていない(効率化が未完成)ことの2点。
「新しい資本主義市場」が、「ベーシック・インカム市場」と同じ市場になるにあたって不足していることは、
・効率化が未完成なため⇒労働から完全に開放されない⇒より効率化(生産者側)できる余地あり
・衣食住に集中していない(最低限の生活保障に限定していない)ため⇒ベーシック・インカムの額が足りない⇒配られた後の使い方の工夫が必要(生活者側)
つまり、「新しい資本主義市場」は、まだ不完全で、「ベーシック・インカム市場」へ至るには、上記2つの課題を埋めていく必要がある。
そしてもう1つ「新しい資本主義市場」には、大きな問題がある。
カーボンタックスは、その性格上、おそらく、カーボンニュートラルが進むにつれて額が減少するので、次第にベーシック・インカムの財源がなくなっていく。
つまり、「新しい資本主義市場」のままでは、カーボンニュートラルが進めば進むほどベーシック・インカムの財源がなくなっていく。
「新しい資本主義市場」の段階では、ベーシック・インカムがいつかは消滅してしまうため、不完全。
そのため、「ベーシック・インカム市場」へと移行していく必要があるということだ。
前述の2点とこの問題をあわせた3つの課題を解決していく必要がある。
・生産が衣食住に集中していない(最低限の生活保障に限定していない)こと
・AI、ロボットの労働により人間が労働から解放されていない(効率化が未完成)こと
・「新しい資本主義市場」のみでは、ベーシック・インカムの財源が2050年(国のカーボンニュートラル目標年)に向けて消滅していくこと
これらを解決するには、「新しい資本主義市場」から「ベーシック・インカム市場」へと移行していく必要がある。
そう考えると(カーボンプライス「炭素税+排出権取引」+「ベーシック・インカム」後の資本主義市場)である「新しい資本主義市場」は、「ベーシック・インカム市場」へ進むための着火剤であり、通過点ともいえる。
なので、結局のところ、「1億総セミリタイア社会計画」には、ベーシック・インカムとベーシック・インカム市場が必要ということになる。
とはいっても、最短で、ベーシック・インカムとベーシック・インカム市場へ進むためには、カーボンプライスという着火剤が必要なのは間違いない。
また、(カーボンプライス「炭素税+排出権取引」+「ベーシック・インカム」後の資本主義市場)を「新しい資本主義市場」としていたが、「ベーシック・インカム市場」への過渡期の市場となるので、「新しい資本主義市場」改め、「(カーボンプライス後)臨時ベーシック・インカム市場」としてみたい。
ここで、すでに決まっている日本の未来について。
『世界・日本のカーボン・ニュートラル実現目標時期は、2050年。
中間の2030年、温室効果ガス排出量の46%削減(2013年度比)。
これを実現するために、カーボンプライス「炭素税+排出権取引」が導入される』
これが、すでに決まっている日本の未来。
ここからは、選ぶ未来。
エスカルジュニアの案は、どうせここへ進んでいくのなら、これによる「産業革命」とともに「社会変革」も同時に進めていこうという未来への選択の1つ。
それが、「カーボンタックスでベーシック・インカム」案。
では、この案のとおりに進むとどういう未来に進んでいくのか?妄想してみる。
まず、「ベーシック・インカム」がスタートすることで、この「ベーシック・インカム」を利用してセミリタイア・リタイア・労働を減らす人が現れる。
「ベーシック・インカム」と「節約」により衣食住という最低限の生活に絞ることで、セミリタイア・リタイア・労働を減らす選択ができるためだ。
⇒労働力が減少していく(日本の場合、人口減少と同時進行)
⇒労働力減少への対応のため、資本家は、効率化(ロボット・AI化)をすすめざるをえなくなる
これにより「(カーボンプライス後)臨時ベーシック・インカム市場」と「ベーシック・インカム市場」の違いの3つの課題のうち2つが解決の方向に進む。
・生産が衣食住に集中していない(最低限の生活保障に限定していない)こと。
・生産が衣食住に集中していない(最低限の生活保障に限定していない)こと。
・AI、ロボットの労働により人間が労働から解放されていない(効率化が未完成)こと。
ここから、さらに
・「(カーボンプライス後)臨時ベーシック・インカム市場」のみでは、ベーシック・インカムの財源が2050年(国のカーボンニュートラル目標年)に向けて消滅していくこと。
という問題を解決するために、「ベーシック・インカム市場」に近づいていく。
ここで、ベーシック・インカムの財源について考えてみる。
「1億総セミリタイア社会計画」において、ベーシック・インカム原資のベースとなるのは、国民年金基礎年金。
ベーシック・インカムは、国民年金基礎年金の代替なので、国民年金基礎年金にかかっていた国の費用の他に、
ベーシック・インカムは、国民年金基礎年金の代替なので、国民年金基礎年金にかかっていた国の費用の他に、
ベーシック・インカム導入により、削減できる国の費用(生活保護費や雇用保険費、人件費など)もその原資になる。
これに今回のカーボンタックスによる税収を加える。
このカーボンタックスによる税収には、二酸化炭素排出量という上限がある。
そして、カーボンタックス税収のすべてをベーシック・インカムに回すわけではなく、一部は、「太陽エネルギー産業革命」への投資にまわす。
とくに、初期の移行期には、電力会社、ガス会社、商社、セメント、化学、製鉄会社といった、化石燃料を使っている会社や送電網整備、EV化へのインフラ対応等、資本家への補助・投資、
EV化、蓄電池、住宅・ビルへの太陽光発電設置等、消費者(生活者)への補助・投資等も必要。
2050年カーボンニュートラルに向けて、これらの投資も縮小していく。
カーボンタックスの税収のうち、これらを除いた分をベーシック・インカム導入の原資となる。
さて、日本ではカーボンタックスの税収はどの位になるのか?
もし、炭素税だけの場合を妄想してみる。
二酸化炭素トン(tーCO2)当たりの金額によって税収は変わる。
2020年度(令和2年度)の温室効果ガス排出量(確報値)について
https://www.nies.go.jp/whatsnew/20220415/20220415-2.html
https://www.nies.go.jp/whatsnew/20220415/20220415-2.html
(環境省記者クラブ、環境記者会、筑波研究学園都市記者会 同時発表)
によると、2020年度の温室効果ガス排出量が11億5,000万トン。
仮に二酸化炭素トン(tーCO2)当たり1万円の炭素税が課税された場合、炭素税収は、11兆5000億円になる。
これが、ベーシック・インカムへのカーボンタックスからの財源の一部となる。
ベーシック・インカム全体に対してこの「カーボンタックスでベーシック・インカム」案からの分はどの位のインパクトになるのか?
2020年(令和2年3月)の日本国民は、約1億2595万人。
仮に上限11兆5000億円を、ベーシック・インカム分とするならば、1人年間10万円弱が、「カーボンタックスでベーシック・インカム」(太陽エネルギ―への転換投資分除く)
からの分となる。
からの分となる。
4人世帯なら年間40万弱が上限だ。
ベーシック・インカムには、このほかに上記、基礎年金等の原資が加わる。
ところが、「カーボンタックスでベーシック・インカム」案は、ベーシック・インカムが支給されるのみという訳ではない。
ベーシック・インカムが支給される一方、炭素税が課されるから。
2020年度の日本の温室効果ガスの総排出量は、前述の11億5,000万トン。
国民1人あたりで計算すると令和2年3月の日本国民は、約1億2595万人なので、年間10万円弱が炭素税として課税される計算になる。
ベーシック・インカムで1人年間10万円弱支給されても、炭素税で1人年間10万円弱払ったら、プラスマイナスゼロなのでは?
2020年度の温室効果ガス排出量11億5,000万トンは、日本全体の排出量。
この日本全体のCO2排出量11億5,000万トンを単純に人口で割ると1人10トン弱の排出量となる。
これには、家庭とは関係のない、排出量の巨大な工場やオフィスからのCO2も含まれてしまう。
つまり、1人年間10トン弱の排出量(=1人年間10万円弱の炭素税)は、産業、家庭、自治体合計の国内排出量。
そして、炭素税は、炭素を排出する主体に対して、排出した分が課税される。
なので、産業(資本家)、生活者(消費者)双方に課されるものの、産業(資本家)由来の排出量の方が多くなるため、生活者(消費者)には、ベーシックインカム収入の方が多くなる余地が生まれる。
では、個人の直接排出はどの位なのか?
日本の温室効果ガス排出量データ
https://www.nies.go.jp/gio/archive/ghgdata/index.html
https://www.nies.go.jp/gio/archive/ghgdata/index.html
出典:国立環境研究所ウェブサイト
こちらのデータから「家庭におけるCO2排出量(一人あたり)の2020年」をみると、1840kgCO2。
ここから「3、ごみ処理時に発生するCO2排出量」70kgCO2を除くと1770kgCO2。
つまり、個人の直接排出は、1人平均年間1.77トン。
10トン弱と1.77トンの差が1人あたりの年間ベーシックインカム収入となる。
さらに、カーボンを個人レベルで節約すれば、ベーシックインカムの収入が増えることになる。
このほかに、家計のコスト増要因としては、産業(資本家)や行政(ゴミ処理、公共交通等)から、価格転嫁される分が、間接的に、生活者(消費者)負担となる。
が、産業(資本家)が競争状態にあるならば、生活者(消費者)は、購入先を選択することで、コスト増を低下させることは可能なはず。
分かりやすくするために、以上のように、カーボンタックス税収を全額ベーシック・インカムに充当するとどうなるのかについてシミュレーションしてみた。
しかし、「カーボンタックスでベーシック・インカム」案は、全額ベーシック・インカムに充当する訳ではない。
カーボンタックス税収のすべてをベーシック・インカムに充てる訳ではなく、一部は、「太陽エネルギー産業革命」への投資へ。
とくに、初期の移行期には、電力会社、ガス会社、商社、セメント、化学、製鉄会社といった、化石燃料を使っている会社や送電網整備、EV化へのインフラ対応等、資本家への補助・投資、
EV化、蓄電池、住宅・ビルへの太陽光発電設置等、消費者(生活者)への補助・投資等も必要となる。
この投資分をどうするか?
「(カーボンプライス後)臨時ベーシック・インカム市場」導入後の行き先となる、「ベーシック・インカム市場」への移行も考えて、制度設計していく必要がある。
そのため、この投資分をどうするか?の前に整理しておきたいことがある。
それは、この「ベーシック・インカム市場」を誰が管理するのかといった問題だ。
「ベーシック・インカム市場」を誰が管理するのかと、「(カーボンプライス後)臨時ベーシック・インカム市場」を誰が管理するのかは統一させておく必要がある。
『国?地方自治体?民間?
それは国なのか?
国は近代の資本主義における世界史、日本史からみると、
資本家からの影響を受けやすいので×。
地方自治体も同様。さらに国からの圧力も
ありそうなので×。
民間は、資本家による競争原理が強く働きすぎたり、
利潤追求に走りすぎる可能性があるから×
談合などが生じる可能性もある。
では、一体誰が管理するのか?
資本寄りになりやすい国や、資本の影響を受けない
市民による民主主義的な共有組織。
例えば、生活者協同組合。
あるいは、自治会や、NPO連合のような感じだろうか?
いずれにしても、
「日本全体をカバーする民主主義的な共有形態」になる。
それは、1つの大きな社会制度といえる。
その「日本全体をカバーする民主主義的な共有形態」に
国や資本が市場の運営に参画するといった社会制度となる。
つまり、ベーシック・インカム市場は、少し長たらしいが、
「民主主義的資本主義兼社会主義」といえるのかもしれない』
この時の妄想が、コロナ禍後の現在、現実味を帯びてきていると感じる。
コロナ対応で、ベーシック・インカム(風)の国民一律支給があったり、エネルギー高騰時の国の対応等、ここ数年で随分、ベーシック・インカムに近い対応が行われているのを見てきた。
その時の国の対応をみると、上記で想像していたように資本家寄りの政策に傾く可能性が高い。
また、消費税の増税の使い道や、最近では防衛費の議論をみていると、カーボンタックスの使い道が明確でなくなる恐れがある。
地方自治体は、コロナ対応時に給付金支払の窓口となっていたので、ベーシック・インカム支給には適していそう。
が、地方自治体では、その性格上、日本全体をカバーできない。
なので、全体の管理は、資本家寄りになりやすい国や地方自治体ではなく、資本家の影響を受けない、『日本全体をカバーする市民による民主主義的な共有組織』が行うという妄想に変化はない。
さて、誰が管理するのかについて確認したため、本題となる、『カーボンタックス税収のすべてをベーシック・インカムに充てる訳ではなく、一部は、「太陽エネルギー産業革命」への投資へ』について考える。
カーボンタックスからの税収を「ベーシック・インカム」と「投資」にどのように配分するのか。
エスカルジュニア的には、全額「ベーシック・インカム」への配分がいいのではと。
「カーボンタックスでベーシック・インカム」案は、全額ベーシック・インカムへ。
といっても、「投資」は必須だと思う。
全額「ベーシック・インカム」として市民に給付し、同時に投資もおこなう。
そのためにどうすればいいのか?
まず、全額ベーシック・インカムで分配して、その後、受け取った市民(消費者・生活者)がその中から投資していくような制度にする。
投資先の選定についても、国ではなく、市民が行うことになる。
国による投資先選定ではなく、市民による投資先選定とすることで、公平な投資システムを目指す。
カーボンニュートラルへの移行のための投資先を選ぶのは、あくまでも市民。
「市民による民主主義的」な投資先選定とする。
具体的に、各企業は、カーボンニュートラルへの移行のための投資資金はどのように調達するのか?
カーボンニュートラル移行を目的として、ベーシック・インカム分配金総額内で、各企業が「社債」等を発行し、自ら調達する。
「社債」で調達し、カーボンニュートラル移行後の収益で償還する。
それらの中で、魅力的な投資先かどうかを、ベーシック・インカム分配金内で市民が選ぶことになる。
同じように、国は、カーボンニュートラル移行のためのインフラ整備を目的として、ベーシック・インカム分配金総額内で「国債」等を発行し、調達する。
その目的となる各「国家プロジェクト」を細かく設定。
たとえば、「送電網」を国が整備するならば、「国債」で調達し、整備後の使用料金で償還する。
送電網整備に採算性が求められることになる。
魅力的な投資先かどうかを、市民が選ぶことになる。
そして、カーボンニュートラル分野への投資は、ベーシック・インカム分配金の枠内で行う。
投資分の調整については、ベーシック・インカム分配金内での調整なので、「政治」の出番はなく、「市民」が行う。
ベーシック・インカムは、所得税として他の所得と合算する。
このカーボンニュートラル投資分については、非課税枠にすることで、投資へ向かいやすくする。
結果として、他の所得が多い人にとっては、投資へ振り向ける方が、ベーシック・インカムを受け取るよりも有利になる。
今後、もしベーシック・インカムが現物支給的になっていった場合、「ベーシック・インカム現物を受け取る」か「カーボンニュートラル投資をするか」の選択をすることになる。
そして、資金の集まらない「企業」、「国家プロジェクト」は、カーボンニュートラルから取り残されることになる。
カーボンニュートラルを生き残った企業、国家プロジェクトのみが「1億総セミリタイア社会計画」での構成要素となっていく。
1億総セミリタイア社会計画の骨格は、
「(カーボンプライス後)臨時ベーシック・インカム市場」後の上記、「ベーシック・インカム市場」により現れる「人間本位の資本主義」を見越した制度設計をしていく。
「カーボンタックスでベーシック・インカム」案は、最終的には、全額ベーシック・インカムへ。
そして、カーボンニュートラル分野への投資については、ベーシック・インカム分配金の枠内で行う。
つまり、カーボンタックスを上限にベーシック・インカムと投資を行う。
投資は「カーボンタックスでベーシック・インカム」内に限定された制度にする。
そうしたい理由。
それは、今後目指すことになる「ベーシック・インカム市場」への移行をスムーズにするために、非課税枠は最低限にしたいから。
「ベーシック・インカム市場」は、市場内での課税額が、次のサイクルのベーシック・インカムの原資となる。
「ベーシック・インカム市場」への課税確保のため、「ベーシック・インカム市場」内に非課税の要素は最低限にしたい。
「ベーシック・インカム市場」への課税確保のため、「ベーシック・インカム市場」内に非課税の要素は最低限にしたい。
なので、非課税とするカーボンニュートラル分野への投資は、「ベーシック・インカム市場」においては、最低限としておきたい。
ただ、これでは、移行期の投資の財源として、足りないのでは?
「Impact(インパクト)=Population(人口)×Affluence(豊かさ)×Technology(技術)」
これは、人間が環境に及ぼす影響は、人間の数、消費レベル、用いる技術の種類によって決まる。という考え方。
カーボンタックスによって、消費レベルを落とし、用いる技術を向上させる。
消費レベル=「カーボン節約」
用いる技術=「太陽エネルギー投資」
とする。
まず、家計における「カーボン節約」と「太陽エネルギー投資」について。
カーボンタックスにより、市民のモチベーションが、「カーボン節約」へ向かう。
ベーシック・インカム収入をより大きくするために。
同時にベーシック・インカム収入を使って、家計が、自ら、太陽光発電、EV、蓄電池、太陽熱温水等への設備投資を行う。
家計は、企業・国への投資以外にこれら自己投資をすることで、中長期的には、カーボン節約による、ベーシック・インカム収入増加になる。
「カーボンタックスでベーシック・インカム」が、結局、家計の「太陽エネルギー投資」への補助金がわりにもなる。
「カーボンタックスでベーシック・インカム」の範囲を超えて自己投資をするという可能性もでてくる。
次に、企業における「カーボン節約」と「太陽エネルギー投資」について。
企業のほうが、家計よりもカーボンタックスが大きいため、「カーボン節約」が切実となる。
「カーボン節約」を徹底的におこなう。
そのための、技術革新を行う。
一方、企業にとっては、「産業革命」で生まれる大きなビジネスチャンスでもある。
ベーシック・インカムにより消費市場も大きくなる。
これに乗り遅れる企業は、衰退することになる。
最初に「カーボンタックスでベーシック・インカム」を導入することで、一気に家計と企業で、「カーボン節約」と「太陽エネルギー投資」が進む。
そのことで、初期の移行期の投資額を抑えることになる。
国は、輸出、輸入企業が、競争上不利にならないように炭素国境調整措置を導入する。
これが、「カーボンタックスでベーシック・インカム」案の全体像となる。
●「1億総セミリタイア社会(日本ユートピア社会)計画」
第1話〜第99話はこちらでご覧いただけます。
○1億総セミリタイア社会計画の要となるのが、
「ベーシック・インカム市場」 (市場社会保障制度)です。
○1億総セミリタイア社会計画作成にあたり参考となった本をまとめています。